いつもありがとうございます。
今回は棒鱈の焚き方を解説いたします。
棒鱈は京料理の「おせち」には欠かせない食材です。
是非、習得してください。
本文の最後に同じ内容のYouTube動画のリンクを
貼っておくので参考にして下さい。
棒鱈(ぼうたら)とは
棒鱈(ぼうたら)とは真鱈を塩をせずに素干ししたものです。
新鮮な海産物が流通しにくかった昔の京の都では棒鱈のような
乾物や塩蔵にした海産物が貴重なたんぱく源でした。
棒鱈は数カ月もの間「天日干し」で乾燥させ
「棒鱈で釘が打てる」と言われるほど身が硬いものが良品とされているそうです。
「棒鱈」という名前が付くのも納得できますね。
棒鱈をもどす
カンカチに乾燥した棒鱈を5~7日間くらいかけて
毎日水を替えながら水もどしします。
米のとぎ汁でもどすやり方もありますが、真水でも大丈夫です。
棒鱈をタワシで洗う
水もどしした棒鱈をタワシで汚れヌメリを取り除きます。
身の方も洗います。
全てのヒレを取り除きます。
適宜に包丁する
棒鱈を食べやすい大きさに包丁します。
尾の部分は幅なりに包丁します。
カマを落とします
カマの部分も食べられますが、お客様に提供するほどの
商品価値はないのでまかないで食べます。
片身を尾と真ん中と頭に三分割します。
三分割したら柵どりします。
骨が残った状態で柵どりします。
骨を取り除くのは、湯がいてからの方がやり易いです。
焚きあがる頃には骨まで柔らかくなります。
食べやすい大きさに包丁します。
焚く過程で身が崩れてくるので、多少大き目に包丁します。
タップリの水から湯がく
食べやすい大きさに包丁したら鍋にきめてタップリの水から湯がきます。
火力は強火です。
落とし蓋をするとより早く沸かす事ができます。
沸いたきたら火を止めて常温になるまで放置です。
水でひとさらしする
常温になったらガス台から下して水でひとさらしします。
丘上げする
水でひとさらししたら穴あきホテルパンなどに丘上げします。
骨を取り除く
この時に目立った骨は抜いておきます。
棒鱈が焚きあがる頃には骨まで柔らかくなるので
あまり神経質になる必要はありません。
棒鱈を焚く
棒鱈を鍋にきめる
丘上げができたら鍋底にササラをばらしたものを敷き詰めて
棒鱈をきめていきます。
棒鱈を底一面に敷き詰めたら二段目をきめていきます。
二段目をきめたら三段目をきめます。
三段以上重ねると焚きムラができるので三段目までにしておきましょう。
酒を「ひたひた」に入れる
三段きめたら「ひたひた」の酒を入れます。
水を「かぶるくらい」入れる
「ひたひた」の酒を入れた「かぶるくらい」の水を入れます。
「ひたひた」と「かぶるくらい」とはhttps://isobemaruyama.com/171/
リードペーパーを落として火にかけます。
火力は沸くまで強火です。
地が沸いてきました。
甘焚きをする
地が沸いてきたら火力を中火から弱火にして甘焚きをします。
「ひたひた」の酒を10とした時に
体積比で濃口醬油が1:砂糖が2の量を計っておきます。
砂糖は数回に分けてうちます。
甘焚きは6時間ほどかけるので砂糖を1時間毎に5回くらいに分けてうちます。
甘焚きをする時に醤油の全体量の1割ほどの醤油を入れておくと煮崩れしにくくなります。
火力は中火から弱火で常にポコリポコリと90℃以上をキープします。
あまりボコボコ沸かさないようにしましょう。
1時間毎に砂糖をうっていきます。
甘焚きをして6時間くらい経過すると地の表面に
ゼラチンの膜(にかわ質)のようなものできます。
こうなったら甘焚き完了です。
火を止めて一晩放置して甘をしっかりと含ませます。
ちなみに京都の郷土料理に「いもぼう」という料理があります。 これは海老芋と棒鱈を焚き合わせた料理ですが、この棒鱈の「にかわ質」が海老芋の煮崩れを 防ぎ緻密でムッチリとした絶妙な食感に焚きあがるそうです。
甘がしっかりとのっているか試食してみましょう。
濃口醤油をうつ
一晩放置したら再度火にかけます。
地が沸いてきたら濃口醬油を4~5回に分けてうっていきます。
火力は中火くらいです。
先ほどうった濃口醤油が全体になじんできたら
次の濃口醤油をうちます。
刻み柚子を入れて焚きあげる
柚子の皮を剝き、白い部分を取り除いて千打ちにします。
分量の濃口醤油を全部うち終わった刻み柚子を入れます。
刻み柚子をいれたらオーブンシートを落とし蓋にします。
「ひたひた」の地が「ひたひた下」になるまで焚き上げます。
火力は中火くらいです。
地が「ひたひた下」くらいになったら火を止めます。
棒鱈を美味しく仕上げるコツは適度に地を残すことです。
甘露煮のように地を詰め上げないようにしましょう。
甘露煮と含ませ煮の中間のようなイメージです。
是非、美味しい「棒鱈の柚香煮」を焚いてください。
最後までブログをご覧いただきありがとうございました。
「棒鱈の焚き方」動画https://www.youtube.com/watch?v=DIsejutuvTg
これからも料理道に精進いたします。
by料理長