いつもありがとうございます。
今回は「鮑(アワビ)の大船煮、柔らか煮」についてです。
鮑は高級食材の代表格で
京料理では「おせち料理」などには欠かせません。
鮑の下処理から柔らか煮にするまでの工程を解説いたします。。
この記事の一番下に同じ内容の動画を貼り付けておくので参考にして下さい。
鮑の種類
この記事は旬の食材百科より引用しています。 https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fish/awabi.htm
日本で食されている鮑は主に次の四種です。
クロアワビ
鮑の中でも最も食味が良いとされ高値で取引されるそうです。 雄貝(オガイ、オンガイ)という別名があることから性別の雄と思われがちですが、 これは性別ではないようで、クロアワビにも雄雌があるそうです。 味が濃く、コリコリとした食感が特徴です。 刺身にはクロアワビが適しています。
メガイアワビ
メガイアワビを漢字で「雌貝」と書くので性別の雌と思われがちですが、 これもメガイアワビにも雄雌があります。 食感はクロアワビほどのコリコリ感はありませんが、旨味が強く刺身としても食することができます。加熱調理すると甘味が増し食感が柔らかいことから煮貝にはメガイアワビが向いていると言われています。 今回の「大船煮」ではメガイアワビの200g位のものを使っています。
エゾアワビ
見た目はクロアワビと良く似ていて区別するのが難しいそうです。 クロアワビが15㎝~20㎝に成長するのに対してエゾアワビは10㎝~12㎝にしかならないそうです。本来は水温の低い地域に棲息しますが、水温の高い環境で養殖するとクロアワビ並みに大きく成長するそうです。クロアワビに比べると安価で取引されますが、高級食材であることには変わりありません。
マダカアワビ
貝殻の形がまん丸で1㎏以上にも成長する鮑だそうです。
千葉県外房以南に棲息します。
最近は資源の減少からなかなか手に入らないそうです。
クロアワビなどのような旨味が少ない為に蒸し貝にして食するのが
一般的だそうです。
ワタクシもこのアワビは扱ったことがありません。
鮑の処理の仕方
今回はメガイアワビの200gくらいのものを使用しています。
タワシで表面の汚れを洗い流します。(そんなに汚れてないですけど)
洗えたらヘラなどを使って殻から身をはずします。
アワビの殻には厚みのある方と薄い方があるので
薄いほうの殻と身の間にヘラを差し込みます。
殻から身をはずすというよりも、殻にヘラを強くこすり付けるようにして
身をはずしていきます。
殻から身がはずれました。
殻と身が接地している箇所は丸で囲った部分(貝柱のあと)だけです。
あとは薄皮と殻がつながっています。
殻がはずれたら、貝柱の周りについている薄皮と内臓をはずします。
「ココ」の部分が、薄皮で貝柱と内臓がつながっています。
「ココ」の薄皮を包丁ではずします。
内臓がはずれたら、口「くち」をV字に包丁をいれて取り除きます。
肝は先のとがった部分だけを食します。
(ヒモの部分も食べられるそうですがワタクシは使いません)
鮮度が良ければ生でも食べれますが、酒蒸しにして肝醤油やソースに使います。
鮑の柔らか煮(大船煮)のやり方
大船煮(たいせん煮)とは
大船煮の名前の由来は江戸時代に大阪から江戸に大豆や昆布を大きな船で運んだことから
きているそうで、鮑や蛸を大豆と一緒に煮た料理をさすそうです。(諸説あります)
それでは作り方です。
下処理した鮑をばっ缶などにきめて酒を「ひたひた」に入れて一晩おきます。
「ひたひた」とはhttps://isobemaruyama.com/171/
鍋で焚くやり方もありますが、今回はスチームコンベクションで蒸し煮にしています。
この「ひたひた」の酒を鍋に移し薄口醤油と砂糖をいれて調味します。
今回は酒10に対して薄口醤油と砂糖1づつくらいです。
あまり割合にこだわらずに、あたりをみて微調整しましょう。
上記の酒、薄口醤油、砂糖をあわせた地を沸かします。
ばっ缶に鮑と蒸した大豆と昆布をきめます。
上記の地を沸かしてばっ缶に入れます。
地を入れたらスチームコンベクションにセットして
100℃で1時間蒸し煮にします。
(鍋で焚く場合は90℃位をキープして1時間です。鍋で焚く場合は地が蒸発するので
湯をたしながら焚きます。)
蒸しあがったら金串をさしてスッと串が通ったら完成です。
※蒸し時間はアワビの大きさや状態によっても変わるので、必ず金串を刺して
火の通り具合をチェックしましょう。火の通りが足りない場合はもう30分、1時間と
加熱時間を調整を調整しましょう。
(串がスッと通ると言っても焚いた大根や芋のような感覚ではありません。
カマボコや竹輪のような練り物に串をさした感覚です。)
柔らか煮にしたアワビは、イロイロな料理に応用が利きます。
焚き合わせにしたり、寿司のネタにしたり、ステーキやバター焼きにもなります。
当店では「納涼おせち」の逸品としてご提供いたしました。
鮑の柔らか煮のまとめ
- 鮑をタワシなどできれいに洗う
- 殻から身をはずす
- 内臓と口を取り除く
- 内臓は肝の先のとがった部分を食する
- そうじした鮑の身をばっ缶にきめる
- 柔らか煮にする時はひたひたの酒で一晩浸けておく
- その酒を鍋に移し薄口醬油と砂糖で調味する
- 上記の地を沸かしてばっ缶に注ぎ100℃で1時間(大きさや状態にもよる)蒸し煮にする
- 金串がスッと通れば出来上がり
鮑の大船煮(あわびの柔らか煮)作り方解説動画
以上、この記事が皆さんの参考になれば嬉しいです。
これからも料理道に精進いたします。
by料理長